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Gilels plays Rachmaninov: Vocalise op.34 no.14



蛍は夜があかるいと
相手をさがせなくなってしまうのだと、
あなたはいった

(森の入り口には壊れた漁船と掘っ建て小屋があった)

あなたとならんで歩くと決まって
風のかたわらにある葉ずれの音や
落ち葉を踏む音があざやかで、

抱擁の遠さなら織り込みずみなのに
たとえ気まぐれにほほえんでみたところで
さびしいのはおたがいさま、なのだとおもう

――雨に濡れきった蛍は、あいづちさえ気まぐれに、さびしいものね

この森のどこかでふたりは出会うはずでした
この森のどこかうつくしい湖畔で

(切り株の年輪はかえってわたしたちを心細くさせた)

ありふれたなつかしさにおぼれることができたら
べつに蛍でなくてもいいのだと、
わたしはあなたにたいして
ときどき、ためらいがちになる

――雨に濡れきった蛍は、あいづちさえ気まぐれに、さびしいものね




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