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蝶、痕跡、食卓


Thelonious Monk - It´s Monk Time (1964) (Full Album)



窓辺にやってきては液状になっていく蝶を、
そんなふうにしか見れないのかとあなたはなじる
地下鉄の時刻表を仰ぐように、だれかと耳打ちしあうように

   *

あなたの指がいまだに未知であるように
声にならないことばは喉の奥で
ありもしない波に攫われる
生まれることさえかなわなかった痛みを
明日の痕跡だと偽るのはわたしの勝手だ
山に近いこの部屋に朝の日ざしが射しこみ
風をはらんだカーテンが一瞬の高まりを見せる

   *

あなたの視線を直視するたびに傷口がひらくのは
食卓という木製の柵にかこまれて
焦げついた珈琲の匂いを嗅いでいるせいもある
飼い犬は小皿のうえに顎をのせてまどろみながらも
だれかと鼻先をこすりあわせて約束したはずの
あなたは菜の花、わたしは桔梗……
この老犬に休暇を与えるためにも別れようと食卓はわらう




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