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ありふれた挨拶のさなかに

ありふれた挨拶を交わし合いながらも

こうやって季(とき)は忘れ去られるものなのか




いつかの波打ち際に取り残された波しぶきが

さっと吹き流れてくるように

風が花びらを運び そしてまた

別の花びらを連れ去ってしまう




純白の花びらは

たえず吹きつづけるそよ風には

なんの関心も示さないが

つかの間の静寂のあとに訪れる風には

毅然とした態度をひるがえし

この身をすっかり預けられるものらしい




やや赤みを帯びてふるえる木の葉や

むっと立ちのぼる草いきれにまぎれて

お元気ですか、と囁いてみる

目をつむり顎を引き

忘れ去られるはずのものを

かたく握りしめながら




夕暮れを携えた波打ち際で

ふれられなかった肩に

ふれたときのように

一瞬が永遠になる






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