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春を読む(大島弓子さんの絵とともに)

大島弓子著『つるばらつるばら』(1)
(大島弓子著『つるばら つるばら』)



君は落ち葉のソファに寝転んで
ほんの少し首をかしげながら
春を読んでいた

やわらかな日差しが
君の頬や首筋をすべり落ちるたびに
君は春を読んでいた

(君がほんの少しでも視線をそらすと
春は子鹿のようにふるえる)

森の奥深く
湖の上のオルガンが
祝福のように緻密に音を挟んで
清潔な思い出とともに
風が君の名前をさらっていく

ひりひりするほどの寡黙さの中で
君の読書こそ
この春の調べにふさわしいのだと
だからこそ君の読書は
祈りそのものだった

君がまぶたをゆっくりと
眠りに近づけるまで



大島弓子著『つるばらつるばら』(2)
(大島弓子著『つるばら つるばら』)




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