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タイムマインド(潤一編)(76)


       二十二

 宮崎はやっぱり信じてくれなかった。説明だけでは無理だった。期待していたわけではないが、しかし、頑なに拒否されるのは、痛かった。惣一や惣次の人生が否定されたようにも感じられたからだ。
 彼女は、僕が前世に左右されていると言った。僕は固まってしまって、何も言えなかったけれど、よくよく考えてみると――しかたないじゃないか、と思う。はじめて会ったときに相手に感じる「一目惚れ」や「第一印象」といったものは、自分の前世と密接な関わりがあるのだ。前世のときの恋人同士がまた現世で再会を果たし、結ばれる──そんなケースも報告されているように、前世のできごとは、なんらかのかたちでずっと、未来永劫つながっているのだ。要するに、誰もが無意識のうちに「左右」されているのではないか。
 もう、文化祭で証明するしかない、と僕は思った。
 僕たちは生まれ変わりなのだということを、結ばれる運命なのだということを、宮崎に気づいてもらうのだ。

 この数日間は、宮崎に前世の話を振ることなく、大人しく過ごした。いつもどおり平凡な会話を交わし、笑い合った。話題はもっぱら文化祭のことだ。
 どの映画を放映するか――僕は、ジブリの映画にしよう、と言った。どうしてもジブリの映画にしたかった。する必要があった。意外にもあっさりと──映画の係は僕を入れて四人しかいないのだが──満場一致となった。流血シーン必至のアクション映画や好みが分かれるホラー映画よりは、大衆向けであるジブリの方が無難だし、教師にクレームをつけられることもない。宮崎もジブリが好きだと言っていた。


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