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二月

(家から読みさしで持ってきた本をひろげる)

   *

鳥たちは、ときどき、風を織る
傾きかかる夕日の、
やけに白っぽいあたりを渡っていた

   *

くたびれた海図をくわえてどこへ行くのか

   *

あるいはゆるやかに雨季を編み込みながらも
熟れた果実のなかで太陽と月が抱擁を交わす

   *

なにもかもが手つかずのまま
ふとしたはずみで、ひとはそんなふうに
――あたかも自明のもののように――
ことばでないものになってしまう、だから

   *

誰かの名を呼ぶ、ふりをする

   *

(まるでことばでないもののように)
(このあかるさはなんだろう?)

   *

――きょうもまた、鳥のはばたきを演奏している湖の憂えた横顔が美しいですね
ふいに思いとどまって口をつぐんだ
未使用のことばのように

   *

(樹木のように立ちあがる、あなたの、その祈りの切実さが、たとえば耳もとの小鳥をはばたかすのだとすれば、それはきっと、いつかあなた自身にもかえってくる〝問い〟かもしれない)

   *

――あなたの言葉はあなた以上に、あなたゆえに美しい




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