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二月(「手漕ぎボート」)


手漕ぎボート/小林大吾



文明とは、いったいいつごろから人間に悪影響を及ぼすようになったのか。文明が発達するにつれ、人間から人間性が失われていくようにおもう。
文化は、ひとがひとであることのすばらしさやうつくしさ、尊いいとなみによってつむがれるものであるが、文明は、ともすればひとがひとであることへの〝おごり〟のようにもおもえる。そろそろ文明の解釈を軌道修正する必要があるのかもしれない。

地図のうえはいつも海の調べだった。あどけない水位をふくんで生命の均衡はくずれる。いくつかの事柄を「旧姓」と呼んでもいい。地図の裂け目を縫合するのはそのあとでいい。

行き場のない亡霊たちとなんどもすれちがう。鳥も虫もみな、まなざしのことばで、なにも語りたがらない。そっと、からっぽのいたみを抱きかかえる。からっぽであることに違和感をおぼえなくなるまで。

……手をつなぐこともまた、やわらかなほころびのようなものかもしれないけれど。

いつかきいた、夜明けまえの馬の蹄の音。いまでも、目がさめるたびに、その音のゆくえをさがしている。ほとんど科白のない映画のようだ。
ひとにどうおもわれるか、という自己中心性から脱却し、ひとはどう考えるか、という他者の視点をぐっと引き寄せなければならない。




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