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二月

蝉は脱皮してから七日間は生きるつもりでいるが、ひとはいったいいつまで生きたいのだろうと、冬のまっただなかに、おもってみる。ふと脳裏をよぎるのは、ありもしない夏のおもいでとか。
空蝉の清潔さはどこかうそっぽい、うそっぽい清潔さだ。わたしはもうなにも知りませんといった態度がずっといやだった。
と彼はいった。
で、空のゆがみを補正するのは、鳥でも風でもなく、ひまわりだよ。
いつかの帰り道、彼はそういったのだ。

   *

(なんのあてもない鳥たちのはばたきは、ぼくの視界に複写のようなざらつきをのこす。鳴くことで鳥になる鳥こそ、いつか風となり、光となるはず。)

   *

こんな夜は、いくら目で活字を追ってもまったく頭にはいってこない。
読書、その行為自体、なにかのほころびのようだ。ぼくはただ、なにかのほころびを読んでいるにすぎない。ほころびをほころびのまま受け入れることもできるだろうし、じぶんのなかで勝手に結びなおすことも可能だろう。


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