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読書日和な人々(絵・ひがしもとしろう)


中村中 - 友達の詩





読書日和な人々 (1)


この机の
その窓の
どこかにある

ことばの居場所


読書日和な人々 (2)


息をとめ
海をのぞむように
本の向こうをのぞく
嘘つきになるのは
どっちだ


読書日和な人々 (3)


どの詩も、詩それ自体がそのたたずまいにおいて〝声と声で結ばれるもの〟を予見している。


読書日和な人々 (4)


子どものころの、おおきな翼をもつ夢が、いまや幻想に変わってわたしのまなざしをつまずかせるのか。
芯の見えない空を泳いでいた。一匹の魚が跳ねたかと思えば、またページの間隙に引き戻される。
きのうの月がわすれもののように取り残されている水たまりを、あなたは軽々と飛び越えてしまう。
いつか子どもに、飴玉をほおばらせるように、詩を、口にふくませてあげたい。


読書日和な人々 (5)


もし私が考えるのなら
それはもう私ではない

話すことを
手放す
こと

てのひらのむこうの
消失点
から逃れるように

から離れること

視線の爪でひっかけば
たちまち悲鳴が上がるのだと
、知らない


読書日和な人々 (6)


「もともと何色だったのか?」と訊けば、その栞は「栞色」だと虚勢をはる。なんて愛らしいやつ(枯れ葉が風に踊らされていて、ずいぶんとすこやかだった。影をつけるように、栞をはさむ)。


読書日和な人々 (7)


あなたの指が二つ来て
すぐに離れる

ざわりとした感覚
だけが残されて

読んだ、というよりも
覚めた、というべきか


読書日和な人々 (8)


(雨垂れの言語を知りたい。できれば大きな虹がかかるまでに)


読書日和な人々 (9)


行くあてがない
というあてへ
向かうよすがか

そのよすがを
読書
と呼ぶのか

離れた、
と思った隙に
近づいてしまう


読書日和な人々 (10)


読書はすでに「間」だ
いくらでも間から言葉がすり抜けていく

消えた言葉を追いかける
視線の爪でひっかけば
悲鳴が上がる


読書日和な人々 (11)


星座のまんなかで眠る犬を信じてはいけない
誰かが誰かに出会うまで
嘘をつきとおす


読書日和な人々 (12)


まどべに
まなざしを
おきわすれた

無数の光が
それに気づいた

無数の光が
それにはじかれるたびに
つまびらかになるのは
風の行方


読書日和な人々 (13)


風は行き過ぎる
ちょうどいい場所で
立ち止まってくれない


読書日和な人々 (14)


振り向かないで
振り向くことを
教えてくれない


読書日和な人々 (15)


あるいは窓を過ぎった
光の瞬きにでも聞いてみようか

ほかを知らない
自分さえも


読書日和な人々 (16)


空中でカタツムリがひゅんひゅん飛び交っているとおもったら、本のなかの活字でした。


読書日和な人々 (17)






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