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空気欲しい(絵・ひがしもとしろう)

空気欲しい(絵・ひがしもとしろう)



目がさめたらからだがしぼんでいた。膚のどこもかしこもしわしわだった。かすかにシューと空気のもれる音がきこえる。というかあきらかにみぎがわの腹部からなにかがぬけでていくかんじがある。じじつ、上体をおこし寝間着のすそをもちあげてみぎがわの下腹部をかくにんするとみぎがわの下腹部にこゆびの爪ほどのちいさな穴があいていてそこから空気がシューともれていた。出血はない。空気がもれていた。いたみもない。空気がもれていた。あわててそこを右手でおさえるととりあえず空気もれはとまった。からだもたぶんしぼまなくなった。しばらくわたしは目をつむり眉間にしわをよせて哲学したが、こんなときにものごとをたんねんに論証するのはかなりむつかしい。というか、いったいなんのものごとをたんねんに論証すればいいのかわからない。とりあえず空気もれはとまった。そうだ、それでいい。とりあえず空気もれはとまったのだ。深呼吸をするとすこしわたしがふくらんだ気がした。なんどもなんども深呼吸をした。すぐにいきぐるしくなった。息がくるしいと、生きていることもくるしい。人生とは息をするためにあるのだ、などとおもってみる。などと。しかし、人生とは息をするためにあるがゆえに、それゆえの困難さをともなう。そうだ、そうにちがいない。よくききたまえ、おれ。よくききたまえ、わたし。耳から鼻から毛穴からなにかもれてはいないか。へそからもおしりからも、シューという音がきこえはしないか。これは幻聴か?これが幻聴だとすれば、わたしがすこしずつしぼんでいくのも幻覚か?錯覚か?錯乱か?眼球が、がたがたいっているのは、ああ、ここからも空気がもれだしているわけか。だとすれば、わたしはしぼむ、かくじつにしぼんでしまう。おおい、だれかー、空気いれをもってきてくれませんか!?空気をください空気を!人工呼吸でもなんでもいい、空気をください空気を!!とにかく空気を!!!!




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