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橋詰哲夫さんの詩集『オリロフの詩』を読む。

詩が好きでもその詩人は好きになれないということもある。
その逆もしかり。
しかし、この詩集を読んで「いいなぁ」「すてきだなぁ」と思う読者は、
きっとこの詩人をも好きになることだろう。
この詩集において詩と詩人は一対なのだ。
詩は詩人に寄り添い、詩人は詩に寄り添う――。
こんなにも幸福な出会いはない。
個人的には「仕事」「木」「木をたたく」「熱」「陽ざし」「垣根」が好きだ。
「おっとっと」という版画作品にも惹かれる(この詩集には版画も収められているのである)。

 木をたたいていると
 頭は 空をみている

 木をたたいていると
 セミがとんでくるときもある
 
 木をたたくと
 葉っぱが揺れ
 
 木をたたくと
 風が動く

 動く雲を見ながら
 木をたたくのである(「木をたたく」)

木をたたく、という切実さ、あるいは切実な行為は、
やがて〝祈り〟になる。
言いつづけることで、
やりつづけることで、
どんなものにも〝祈り〟は〝宿る〟のである。
詩人は、ことばを見つめながらも、木をたたきつづけた。
木をたたきつづけた結果、ことばを獲得した。
それを〝祈り〟といわずなんといおう。

橋詰哲夫さんの詩集『オリロフの詩』
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