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鳥を愛するひとびと(絵・ひがしもとしろう)

鳥を愛するひとびと(1)(絵・ひがしもとしろう)

窓の中の一羽の鳩
その鳩はその窓の中にしか
存在しない



鳥を愛するひとびと(2)(絵・ひがしもとしろう)

ふいに鳥が飛び立つのは
なにかを秘密めかすためではない
絶句するしかないからだ



鳥を愛するひとびと(3)(絵・ひがしもとしろう)

どこか遠くへ飛び立つ鳥の
一瞬の羽ばたきに
愛が見えやしないか
きみはじっと目を凝らし
耳をすます、だからいつまでも
その鳥は遠くへ飛び立つことができない



【拾遺】

うたう喉を先にあるかせて
錆びた果実をついばむ
一羽のことり

 *

風をはらんだ尾羽根を
はばたきの終わりにそっと折りたたんで
その鳥はどこへいくのか

 *

鳥は、みずからのはばたきのなかに住まうのだと、あなたはいともたやすく嘘を口にする。

 *

鳥かごのなかの
名もない鳥のはばたきを
たとえば、あこがれ、
とでも呼んでみれば
あこがれはきっと
あなたと同じしぐさで
私の胸に飛び込んでくれるものだと
私は思いたい

 *

一羽の鳥が、
どこか懐かしいもの
に向かって飛び立った。……

(羽ばたきは、読みを間違えると成立しない。もし読みを間違ってしまうと、瞬き、になってしまう。瞬き、では空を飛ぶことはできない。あるいは、瞬き、だと空を飛ぶ以上に時空を超えることも可能かもしれないが、それはやはり、羽ばたき、ではない。羽ばたきではない行為は鳥の得意ではない。鳥の得意はあくまでも羽ばたきなのである。)

 *

はばたきとは蒸発することだ、だから鳥ではないぼくたちはどこからも逃げることなど許されていないのだと、きみは遠く、あまりにも遠くうつむいたままそういった。

 *

小鳥のさえずりは、
近所の、相性のいい耳同士を
結びつける。

 *

一羽だけ
悲しんではいないか

私はそうっと
目を凝らす

 *

いたみ、をともなわない方位などない。鳥は、だからほんの少し微熱を宿しながらも飛び立つほうへ「かもしれない」をはばたかせる。

 *

(鳥は鳥である必要はない
しかしなぜかひとは
ひとであろうとしたがる
ひとでなくてはならない、
などとおもいあがっている)

 *

鳥が羽ばたくと、森は一瞬、無口になる。

 *

風のなかの
鳥たちのあかるいはばたきが
わたしたちの精神の梢をふるわせる
早くここに来てとまってほしいと――

 *

鳥はみずからを語らない
たださえずり、ただはばたくことが
あまりにも潔癖すぎるから
それだけでもう
完結しているのだ


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