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九月


HIGHWAYS / JEFF BECK GROUP



おびただしいほどの蛾が、
まるで機関銃のように襲ってきた。
風のくぼみに身をかくすと、
アテナイの裁判所。
ソクラテスの有名な弁明がきこえてくる。
「わたしは自分が何も知らないということを知っている」と。
なにごともいちから問いなおすしかないのだ、
いちから名づけ、いちからうたがいつづけること。
慣れ親しんだものにこそ、きれいさっぱり、
別れを告げる必要がある。
もっとも手ばなす価値がある。
いまはまだ、目のまえの扉を開けもしないで、
そのむこうになにがあるのか
期待しているだけにすぎないのではないか。
ありもしない鍵とは、ぼくじしんのことではないか。
ぼくという存在じたい、あるいは、この、
風のくぼみのようなものだろう。
いつだって、おびただしいほどの蛾や
つめたい現実にあらがい打ち勝つのは、
じぶんじしんの思索の深みだとおもう。
風のくぼみからでると、
もう脅威はすぎさっていた。


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