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九月


Nirvana - Smells Like Teen Spirit


昨夜、友人は酒に酔っ払ったまま扇風機を抱
いて風呂にはいったらしい。どれほど酔っていたのかときけば、扇風機の羽根が魚

に見えたといって、わらう。「もう扇風機をしまう時期だからちょうどよかったよ」、と。いったいなにがよかったのか、ぼくにはさっ

ぱりわからない。

   *

図書館で借りた本のしおり
ひもが、本のまんなかでうつくしい「し」の字になってねむっているのを見ると、はっとする。まだだれもこの本を読んでいないのだ、ということ

よりも、しおりひもが完璧なまでの「し」の字になって、ページとページ、行と行をただよう空気を澄んだものにしていることに、なんていうか畏怖の念を感じるのだ。おそるおそるしおり

ひもにふれると、はらりとおちる。そしてそこにはしおり

ひもの眠りの名残がのこっている。紙の本には、ありとあらゆるところに「からくり」があるので、なかなか、たのしい。

   *

どこからやってきたのか。みみずが窓辺をはっている。みみずは一回一回、

ひと呼吸ひと呼吸、どこまでものびやかにのび、ゆるやかに
ちぢこまる。みみずの際限のないひたむきさにひたっているうちに、じぶんさえも無脊椎の生きもののように感じられてくる

からふしぎだ。
もしかしたら、このみみずは、かつてはしおり
ひもだったのではないか。神さまのいたずらかなにかで、みみず

になってしまったのか。あるいはみずからのぞんで、みみずになりたかったのか。

友人はきっと、扇風機の羽根を魚にかえたかったのだろう。じぶんはなにかできるとでもおもったのだろう。


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