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九月


Guns N' Roses - Don't Cry


わが家のタモの木の近くにある五輪塔が、
なにものかによってこわされていた。
犯人さがしをする気はないし、そもそも
犯人なんていないのかもしれない。
ぼくのちいさな願望のあらわれ、なのかもしれない。
かつてはここには祠もあったようだが、いまはない。
五輪塔は、時代はそうふるくはなく、せいぜい江戸期。
これまでになんど、いたずらにあったのか。
つみあげては、くずす。くずしては、つみあげる。
なんていえばいいのだろう、
じぶんがいま、いるべき場所にいないような、
そんなふたしかさやこころもとなさがある。
しかし、ほんとうはそういうことを考えてもしかたがない、
なるようにしかならない
のだということもわかってはいる。
塀のうえで黒猫があやしくこっちを見ている。
遠くのほうで風がすこやかに燃えている。

   *

図書館で、本棚から何冊か本をひきぬくと、となりの本も、またそのとなりの本も、横にかたむく。いっせいにおおくの本がかたむけば、そのかたむいていったさきにある本のなかに、大量のことばが注入されたり移動したりしないかと、いささか気をもんでしまう。ひきぬいた個所からむかって左側の本のなかはすべて空白、一方の、右側の数冊の本のなかにはぎっしりとことばがつめこまれていたら(しかもそのぶん、うんと厚く重くなっていたら)、いったいぜんたいどうすればいいのか。

   *

北村透谷の腕には石榴の刺青があったそうだ。

 折れたまま
 咲いてみせたる
 墓の花


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