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ゴミの降る町


Eddie Gale - The Rain



しののめからずっと
あらゆる種類のゴミが降りつづいている
暗澹とした雲の裂け目からこの町の心臓部に
やわらかく、あるいは淋しく――

ゴミは光の円柱に擁護されたまま
オークションにかけられるようにゆっくりと
漂着する(地上へ、地上へ……)

その大量の中で愛し合う恋人たちもいる
疾うに淘汰されたものだとは知らず、互いが互いの
首を絞めたことさえすっかり忘れて

恋人たちは双眸を細めながら
腐乱の吐息で
囁く、
ワタシタチハ カゲロウノヨウニ デアイ
ユリカゴノヨウニ ミトメ
ソウシテ イマモ ナオ
ヒョウメンチョウリョクノゲンカイマデ
イダキツヅケルノダ――と

ひと月ほど前になるだろうか
一人の少年が大きなタイヤをまともにくらって
命を落とした
(少年は貧しかった、あえかだった、孤児でもあった)

恋をしていたらしい
丘の上の娘に
だから必死でゴミをあさっていたのだ

七色に光り輝くオルゴールを発見したときだった
後頭部から爪先まで衝撃が走り、首がひるがえった

丘の上の娘は窓辺でそれを見ていた
母親に髪を束ねられながら
ああ、乞食が死んだ、
たった今、よくしなう鞭のように死んでしまった――

ゴミは一つ一つが意思を持ち
降りそそぐ
日差しよりも熱心に、生きものの営為よりも従順に
神と神が宇宙で戦っているから
いろいろなものが犠牲になるのだという
けれども腑に落ちない、この町はオアシスだ
あらゆる種類のゴミは我々にとって
連綿たる輪廻への切望だ

限りなく生に執着したものたちが
拠りどころとして〝此処〟を求める

やがて限りなく朽ちるまで

光の円柱を通って
最後に表現されるものは――鍵だ
我々はその鍵を奪い合うために我々を殺す
我々は恋人たちを殺し乞食を殺し見知らぬ名前を殺す
我々は「私」でも「あなた」でも「それ」でもない、
途方もない悲しみになる


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