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静けさの復習(85)

 悲しみは冴えないね。こいびとが寝言をいった。悲しみはずっと、冴えない、と。ぼくは寝返りを打ちつつも、この世でもっともうつくしい寝言だと思った。
 それからすぐに窓のカーテンの向こう側があかるくなった。六時間以上目を開けたまま横になっていたはずなのに、いつ朝が訪れたのかわからなかった。
 いつのまにか机のまえでこいびとがぼくのメロンパンを食べている。ぼくと目があうと、すこしほほえんで、
――悲しみは冴えない。悲しみはずっと、冴えない。
 といった。


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