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静けさの復習(79)

 ぼくは駅前広場のベンチに座って、向こうの噴水がゆっくりとふくらんでいく様子を見ながらラムネを飲んだ。噴水は、ののの、といった感じで、三回ふくれ上がってはしぼむ。しぼむときも、ののの、である。
 ののの、とふくれ上がり、ののの、としぼむ。
 ラムネの瓶越しにその様子を見ているうちに、つぎの季節を告げられるまで、いったいどんな顔をしていればいいのかわからない、わからなくなった。
 このまちのひとたちは、まるで噴水のふちは座るためにあるかのように座っているが、いい迷惑だった。この世界には遠くから噴水を見ていたいひとだっているのだ、そしてそういったささやかなことにひどく安堵できてしまうひとだっている。ぜったいに、いる。噴水のふちはあるいはラムネの瓶を置くためにあるのだ、それ以外のものがそこを遮るのは御法度なのだ。
 ぼくはふいに、ラムネの瓶を落としてしまった。ソーダ水を大量にこぼしてしまったが、割れなかった。ビー玉がきれいだった。


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