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静けさの復習(73)

 翌朝、ぼくは突発性難聴に見舞われた。軽いめまいを感じた時点で、あっ、病院にいかなければと直感した。ぼくは生まれつき右の耳が聞こえない。まちの喧噪から鳥の鳴き声まで、すべての音は左耳にのみ集約される。負荷がかかる。二十五年以上、左耳だけでありとあらゆる種類の音を聞きつづけたのだ、いつかそのしわ寄せがくると思っていたし、実際、「いつか聴力を失うことになるかもしれない」と耳鼻科医にいわれたこともあった。だからぼくはこいびとに、「二週間ほど入院するかもしれない、でも心配しないで。命にかかわることではないから」といって病院に向かったのだった。


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