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静けさの復習(36)

 深夜。コンビニをでてすぐだった。すれちがいざまに酔っ払いに「おまえらはなんなんだ?」といわれた。意外にも鋭い目つきだった。ぼくたちはきつく手をつなぎあい足早に通り過ぎた。酔っ払いはまだなにかいっているようだったが、いっている内容はあるいはぼくたちとはなんの関係もないことのようだったし、追いかけてくる気配もなかった。しかし、ぼくたちの脳裏には酔っ払いのことば――「おまえらはなんなんだ?」――がしっかりと残ってしまった。現にこいびとはぽつりと「わたしたちはなんなんだろうね」とつぶやいて、ぼくをどきっとさせた。
 橋のちょうどまんなかで、こいびとは、あっ! といった。ぼくはじっとこいびとの横顔を見つめたが、こいびとはそれ以上なにもいわなかった。


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