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Love Letter

(風のなかに種があるとすれば、それはきっと、沈黙の種だろう)

風のまにまに漂う日付や日ざし、
葉は茂り、枝は過去を求めて伸びる
二羽の小鳥はたえずなにかを探しながらも
せわしなく光のつぶをついばんでいる
(やがてひとつの塒に帰るのだろうか)

あれはなんという書物だったのだろう
うろ覚えのように視線をさまよわせながらも、行と行、
ページとページのあわいを親しんだ一冊の本
机の上の便箋や万年筆、携帯の充電器……
きみから借りたビニール傘は、まだここにある、というのに
ぼくは水たまりやぬかるみを避けながらも、きみを呼ぶ

(つかんですらいないものを、つかんでみたふりをしたりして、
ぼくたちはきっと、淋しかったのだろう)

降り出した雨に肩を濡らしながらも、
それでもなお、きみを呼ぶ
いつか手をつないでこの森を歩こうと、
約束は果たされないまま、時だけが過ぎたのだ


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