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麦藁帽子


カントリー・ロード/オリビア・ニュートン・ジョン



ふいに夏の方角から
麦藁帽子が飛んできて
僕の頭を終点と決めたようだ

それからのことは覚えていない
覚えきれないほど充たされていたのだ

だから僕はその後の記憶に仮説を立ててみた
(一)草原に寝そべって麦藁帽子から夏の話を聞き出した
(二)あるいは僕の話を聞いてもらった
(三)僕たちは一言も言葉を交わすことなく
じっと雲の移動を見つづけた

「いずれにせよ、君は君だ
何を失くそうと」

そのささやきの直後――
あ!
僕は風にさらわれてしまった
僕は風にさらわれてしまった

麦藁帽子をかぶった春の男の子が
僕に向かって手を振っている

「いずれにせよ、僕は僕だ
何を失くそうが」

その結論はどの季節にも属していない
それは僕の
僕だけの季節だから

(はるなつあきふゆ……)
僕は 僕の季節の中で
一瞬
夏の落し物を拾っただけなんだ


(日本海詩壇入選作品)


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