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雨のあとのアルバム


雨の街を - 荒井由実



雨のあとは
思い出せなかったものが
思い出せそうな感覚がある
ひらいていく抒情がある
夕げを待つひとびとのあいだを
影のない街のすきまを
ぼくはひたすらぬいつづける
雲が空のガラスをみがいている
風はゆるやかに
液体のようにながれ
透明な帽子をさらっていく
虹のうえをかたつむりがはっている
洗濯物は湿っていて
踏切がせわしなく鳴っている
猟銃がカラスをいかくする
みずたまりのうちがわにはもう
小鳥も言葉もひそんでいない
巻尺ではかることも
暗号にかえることもできない
じゃあまたねと
きみはさみしそうにほほえんだ
すこしやつれたよこがおで


(日本海詩壇入選作品)



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