FC2ブログ

記事一覧

倦怠の部屋


Blur - Colours (single)



僕はもうすでに部屋に射し込む朝日と同化した洗いざらしの衣類だった
うなだれるのとは異なるために誰一人として手を差し伸べてもらえないのはむしろ幸福だと思い込むのがつらかった
だがしかし、と無理やり接続詞を濫用することで体の上に異物を積み重ねるのも一つの自己肯定だと認識していたけれど、けれども掌の沼地から立ちのぼる腐臭はどうすることもできない
間欠的に階段を駆け上り、駆け下る瑞々しい足音たちの裏側に潜むいくつもの嬌声を聞くのが唯一外界から発信される慰めで、それは幼い時分に馳せられた追憶をも愛撫に似た色合いに変えてしまう
(僕はあるいは人に食べられるのを夢見ながらも目覚めに反駁し風化の口づけを待ち焦がれた果皮の危うさを内包しているのかもしれなかった)
そのうち日差しが曖昧な微笑とともに机上から滑り落ち、フローリングの床をそっと撫でて、いともたやすく尻尾をグッド・バイの形に振るのを、僕はこの倦怠の片隅で――知りたくないほどに知っている
一日の経過はめくるめく奇術師の様相を呈して、望んでいる物から望んでいない物まですべてをひっくるめた壮大なフィルムとして映写機に提供するべきだったが、問題なのはそれを受け止めるスクリーンの役割を担った傍観者の不在だ
言葉を失った書物を匿いつつも二日酔いの振りをした本棚は、昨日はまだ親しみのこもった気配を発していたというのに……
だがしかし、僕は本当はこの日を卑下するどころか殆ど誇りのように胸を張って生きているのだ、そうでなければこんなにもひどい倦怠が襲ってくるはずがない、彼ら倦怠に見限られていない何よりの証拠だった


(「詩と思想」読者投稿欄入選作品)




スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント