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元谷督太郎生誕100年記念写真展

元谷督太郎生誕100年記念写真展(表)



 鳥取市出身の写真家元谷督太郎さんの生誕100年を記念した写真展が今月27日まであおや郷土館(同市青谷町)で開かれている。
 督太郎さんの1冊目の写真集「漁村」(今井出版)を手に取ったのは5年ほど前だった。酒津や船磯、泊など、村々の生活現場をほぼ毎日のように訪れては写真を撮り続けた孤高の写真家である。チャンバラごっこや野球のまねごと、水揚げや漁具の手入れ……天日干しや藁仕事、船を海へ降ろすときのかけ声……。写真のそこここに「暮らしの種」があり、「共生の芽吹き」があった。撮ること、見つめることへの、頑ななまでの矜持があった。ページをめくるたびに〝あなた〟と出会ってしまう。ふとあなたの視線とかち合ってしまう。貧しさや悲しみをこえた美しさが、人々の表情をよりいっそう輝かせていた。
 まなざしというものは、もしかしたら編むものなのかもしれない。誰もが日々痛切に、切実に――ときには多少のいらだちやもどかしさ、苦しさを感じながらも――〝わたし〟の中で〝あなた〟を編み続けている。ひとを見つめることの度合いが強ければ強いほど、自分をも抱きしめてあげられるのではないか。
 督太郎さんは「眼差すまなざし」そのものを徹底した写真家だと思う(まるで「わたしのふるさとは〝ひと〟である」とでも言いたそうである。そう、彼にとって写真とは〝ひと〟なのだ)。いくらまなざしを編んでも容易には答えは見つからない。しかし、だからこそ、僕たちは編み続ける――〝あなた〟や〝わたし〟を眼差し続ける――しかない。生活の晴れ間を待ちながら、息苦しさ、生きづらさを受け止めるしかない。
 結局のところ、僕たちは他者を通して自分の心のありようにふれるしかないのではないか。



元谷督太郎生誕100年記念写真展(裏)




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