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この重み

この重み1



駅で列に並んでいると肩をたたかれる、煙草くれ、うすぎたない匿名性の影
ぬかるみを見るように、そこにはなにもない、なにも

ツバメの糞にまみれた集合郵便受け、
エレベーターなしの五階建てアパート、
本棚もソファも植物もない

なにも首振り式でなくてもよかったんだとおもう、扇風機は右に、左に、
彼の顔に風を送る、なにも首振り式でなくても……

(ことあるごとに電車の窓にうつる、まるで印象のない顔がわらう)

いらないことであればなんでもできるが、
じぶんのことはなにひとつできない、心配事
でもあるかのように鉛筆の消しゴムを噛むしかない
階段のまえで靴ひもがほどけた、「靴ひもが……」と彼はつぶやく
一週また一週とたつなかで、のしかかってくる
この重み

(ことあるごとに電車の窓にうつる、まるで印象のない顔がわらう)

駅で列に並んでいると肩をたたかれる、煙草くれ、うすぎたない匿名性の影
ぬかるみを見るように、そこにはなにもない、なにも

製紙工場の煙突から流れでる水蒸気、
コンクリートのひび割れにひそむ夏草、
コインランドリーの入り口に座りこんでいる犬

なにも首振り式でなくてもよかったんだとおもう、扇風機は右に、左に、
彼の顔に風を送る、なにも首振り式でなくても……

缶からドロップをひとつ、つまんで、口のなかに放りこんだ
それから台所へ行き包丁を手にとった、のしかかってくる
この重み



この重み2


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