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詩作品「ぼくの馬」(ひがしもとしろうさんの絵とともに)

ぼくの馬 ぼくの馬は
目をはなすとすぐに蹄をインク壺に入れたがる
青い うつくしい液体を滴らせながら
姿勢を維持するための歩き方
その一歩一歩が確実に土の表情をとらえるとき
ぼくの馬 ぼくの馬は
植物や昆虫や風の誕生秘話を聞くだろう
調教師らは熟れた文明のなかに閉じ込められ
たてがみの解読に勤しんでいる
どこかの宮殿の柱と柱のあいだの
ほの明るい春の風の通り道から ぼくの馬
ぼくの馬を呼ぶ声がする
そしてゆっくりと東から包帯は解かれる
燃えさかるあばら骨をかき集めながらぼくは思う
前例のないほどに膂力を狂わせて
溶けかかった凍土を走りつづけている
ぼくの馬
ぼくの馬のことを


ぼくの馬(ひがしもとしろうさん)

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