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書き込みのある風景





鳥かごのなかには国籍はない、だから
鳥かごのなかは無国籍なのだとおもいたい

きょうもこの部屋の窓辺におびただしい数の漂流物
どれもなぜか中国製で、まどろんでいて、
ニーハオ、シエシエ、どーもどーも、
やさしい町、だれか結婚しよう

書き込みのある風景1(ひがしもとしろうさん)

いつのまにかひぐらしはなきやんでいて、
ほとんどせりふのないまちのしずけさ
最初からひぐらしなんて
いねーんだわ
でも、だれだろう?
きみはだれだろう?
きみがなけばいい、ひぐらしのかわりに
てゆうかなけよ
ないてくださいな

なーんていいながら、鞄のなかに一匹、
ひぐらしを入れた、大事そうに入れた

書き込みのある風景2(ひがしもとしろうさん)

できあがった夏、
ていう名前をつけたけれどもう
ひぐらしがなくことはない
矛盾だ
でたらめだ
でも、これでいいんだって
結婚したら笑ってほしい
いっしょに市役所にいこう
いっしょに市役所で暴れよう

(ぼくたちはこれから結婚します
だからいま、ここにいるおまえら全員
殴ります殴らせてくださいせっかく結婚するのですから……)

椅子は脚から先に熟れる
ぼくは、だから中腰になって
ぷるぷるふるえながら本を読んでいて
そのすぐ近くで婚約者は
バランスボールなんかに乗っかったまま
三分クッキングとか見ているのだ

書き込みのある風景3(ひがしもとしろうさん)

三分クッキングでは、まな板のうえで
ありもしない地図、
こけむした碑銘、
しろうとの夏などが
リズミカルに刻まれているようすが、
そのようすが否応なく、
ぼくやきみの注意をひくのだから
もう結婚だ、市役所にいこう
三分クッキングにやられました
ぼくたちは結婚します、それでいいじゃないか
これはプロポーズです

椅子は脚から先に熟れる
ぼくは、だから中腰になって
足をぷるぷるさせながらも
れっきとした愛の告白をきみに捧げたい
あ、捧げたいなんていうと、
まるできみがもう死んでいるみたいだけど
でもまだなにもはじまってもいないのだから
捧げたい、捧げるしかないのです
末永くよろしくごめんね
明日から腕枕だ
腕まくりして
腕枕だ
ちゃんとしびれにもたえるよ
きみが眠るまで見守ってあげよう
新婚は腕枕だ
腕枕こそ新婚だ
ぼくがもし腕枕にたえられなくなったら、
犬を飼おう
トカゲでもいい
オウムはだめだ、どうせろくでもない言葉しかおぼえやしない

書き込みのある風景4(ひがしもとしろうさん)

「なに仕事さぼってんだよてめー」とか
「もやし食い過ぎなんだよてめー」とか
「もやしにまぎれてあたしのグミまで食べんなよてめー」とか
きっと、きみの口調ばかりをまねするのだろう

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」とか
「すみませんすみませんすみません!」とか
きっと、ぼくの謝罪ばかりを暗唱するんだろう

書き込みのある風景5(ひがしもとしろうさん)

そんなオウムを飼ったらおしまいだ
ぼくは終始、奴隷扱いだ
そんな関係はやだな
フェアじゃないよ
だから犬を飼おう
トカゲでもいい
オウムはだめだ
もしオウムでなければいけないのなら
腕枕の腕前を上げるよ
世界一の腕枕師になるよ
きみが寝つけるまで
腕が腐っても、

書き込みのある風景6(ひがしもとしろうさん)

腕が腐っても……

虹をくぐるように眠れたらいいね
いきもののようにふるえられたら
さいこうだね、正確に伝わることなんてないのだから、だから

やさしい町、だれか結婚しよう

(風向き次第ではみな
例外なく吹き飛んでしまう
こんなうさんくさいまち
とっとと消えなよ)

鳥かごのなかには国籍はない、だから
鳥かごのなかは無国籍なのだとおもいたい

書き込みのある風景7(ひがしもとしろうさん)

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