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Blue Memories (1) ――フナイタケヒコ作品「シリーズ Blue Drawing 」へのオマージュ――

いつか観覧車のなかで見た、真昼の月
あのときの月がいま、欄干の下でゆれている

幾羽もの鳥があおぞらを横切っていて、
鳥は、そのさえずりの遠さをぼくたちの抱擁に捧げるのだと、
あなたはそういって、わたしを抱きしめた、はずだった

コーヒーカップや回転ブランコ、まだ、だれのものでもない回転木馬
子どもの手からはなれた風船、ベンチの上に忘れられたビニール傘……

風のなかをしずかにながれる光の粒子さえも、
まるで抱擁そのものになりたがっているみたいねと、
わたしはそうわらって、あなたを抱きしめた、はずだった

すこしずつ綻んでゆく記憶のかたわらで
短針と長針が重なるように、
あのときの月がいま、欄干の下でゆれている


Ⅳ-Ⅰ Blue Drawing 2005(「フナイタケヒコ 絵画の光景」)

Ⅳ-Ⅰ Blue Drawing 2005(「フナイタケヒコ 絵画の光景」)



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