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記事一覧

軋み

純愛-浜田真理子ここちいい軋みをたてる椅子にめぐり会えないだろうかすわるときはとてもうれしそうにたちあがるときはすこしだけざんねんそうに軋む椅子かなしみとは無縁のようでいて風がふけばせつなさをまとい風がやめばなつかしさそのものになる椅子カーテンのふくらみが椅子を隠しあなたはしずかに本を閉じる最初からだれもいない部屋で軋みだけがここちいい...

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詩は、

Yosuke Yamashita 山下洋輔 / Greensleeves (live)詩は、ことばをはばたかせるものだと、そうおもっていたが、もしかしたらことばのむこうからやってくることもあるかもしれない。其処此処に、見えない蝶のようなものがいて、ふいにぼくの耳にとまる。それを、その瞬間を、いけどりにするのだ。大事なのは、やはり受けとることではないか。どう受けとるかは、どう生きるかに、直接、関わってくるようにおもう。目をこらし、耳をそ...

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六月

Erik Satie - Gnossienne, 5. (サティの音楽には見えない蝶が無数に飛び交っていてときどき僕の耳にも止まってくれる)   *いつか遠足文庫で会った少年が夢にでてきた。そういえばどこかふしぎな魅力をもった少年だった。表情としぐさがナイーブで、ことばづかいもまた、しずくのしたたり落ちる寸前でもちこたえているかのようだった。夢でもぼくは彼を段ボールの橇に乗せ、ひもを引っ張りながらのろのろと園内を歩きまわった...

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天体遊歩

カントリー・ロード真夜中の顔見知りの影たちは到着するよりも遅刻することに意識を傾けていろあせた町いろあせた町をさまよい続けるのだととりかえしのつかないほどよりいっそう無口になってそれでいていかにもくつろぎきった姿勢だから影の履歴影の披瀝が寛容なのだと真夜中の顔見知りの影たちはせせら笑う煉瓦づくりの廃屋の陰に寄り添いながらあの日の夏の続きをいつまでも思い出せずにいるのだとこれは科白のない映画だと思え...

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草野理恵子さんの詩「うみは馬として」(詩誌『Rurikarakusa』十一号/二〇一九年五月二十日発行)を読む

 詩を読むときは、つねに手探りだ。手探りをしながら、じぶんの頭で考え、じぶんのこころで感じること。詩人を信頼するまえに、まずはじぶんじしんを信頼すること。誤読をおそれないこと。 一回読んでみてなんとなくわかることもあれば、まったく歯がたたないこともある。なんど読んでも読めないことがある。しかし、いかなる場合も、読めないことはわかるのだ、読めないことだけは読めるのだ。詩を読むとは、そういうことだとお...

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時本景亮さん写真展「草木のささやき」(2019年7月4日~9日、ギャラリーそら)

 たいせつなひとと待ちあわせをするのならギャラリーがいい。そこにある作品についてあれこれとことばをかわしあい、時間のながれを共有しあえたら、どんなにすてきだろう。もちろん、ひとりでもかまわない。ギャラリーそらは、とまり木のような場所だ。鳥かごでも桎梏でもない。いつでも好きなときにきて羽をやすめることができる。ひょっとしたら会いたいひとに会えるかもしれない。待ちあわせにも似た出会いがあるかもしれない...

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六月

涙くんさよなら(シングル・ヴァージョン)白鳥はふっくらと陽にふくらみぬ ありがとういつも見えないあなた(渡辺松男)ときどき歌をくちずさむ。なるべくおだやかでやわらかな韻律がいい。遠いところに置いてきた忘れものを、おもいだせそうなものがいい。(一年くらい長編を書いていない。それはそれでいいのか。……いいのか?)それから本占いをひとつ。目についた小説を本棚から取りだしぱっとページをひらくと、「月の一日は...

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詠み人知らず

(コップ一杯の水で風邪薬を飲み下したあとで)表裏風にもあるのかどうせなら、表がいい何度会っても名前を覚えられない人に幼いころに飼っていた犬の話をしありもしない思い出を語っているうちにふしぎに胸がさわいだ網膜の裏から湧き出してくる情景は路地裏の面差しを濡らして長びく雨の模様の中で汚れた首をもたげた(羽搏く夢でも見ているのか、まぶたのふるえ)風の囁きがざわめきに変わりカーテンのない窓辺で二重写しになる...

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北島理恵子さん詩集『ぬり絵』(版木舎)を読む

「おとこのこも おんなのこも/すわっていた石段も/乳母車も 水飲み場も/仔馬の乗り物も/そこではすべて 細い線で縁どられていた」 表題作「ぬり絵」のはじまりは、さびしい。いろのない、ほそく、せつない輪郭線のみの世界。北島さんは、あえて記憶のかごをゆらして、そこからこぼれるものをていねいに、すこやかにいとおしむ。なんてせんさいであやうい感性なのだろう。「背景には 人けのない神社があった/古い木戸があ...

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詩誌『space(146)』

詩誌『space(146)』に「かたつむり」という小説を書いています。ふたば工房のホームページで期間限定公開中です。よかったら読んでやってください。ふたば工房...

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