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記事一覧

九月(オムライス、無人駅、交差点)

GADORO/KUSONEET DREAMS [Official MV]きのうのオムライスののこりを電子レンジでチンして食べた。それからメロンパンは二口だけ、ざりり。ジーンズのポケットにはファミレスの割引券が二枚。セロファンのようにめくれたかさぶたを日ざしに透かす。掃除機は依然としてぼくの靴下をのみこめずにいる。種は、風に飛ばされながらも、着地のイメージをおもいえがいている。「いつか人間は、波打ち際に描かれた砂の表情のように消滅する...

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高橋裕子さんの詩「キッチン―七月」(『日本未来派』235号)を読む

  青々と稲穂がそよぐ北耕地  畦道にとめてある白い自動車が  朝日を受けてまぶしい  去年と変わらない 窓の外  けれども このキッチンの中は  閉じてしまった山小屋のように  静かだ(一、二連) 読みはじめるよりもまえに――そのページをひらいた時点ですぐに――いいにおいがたちのぼってくることがある。こころなしか、余白がまぶしい。ことばが目に飛びこんでくる。ここにはぼくが願っていたものがあるという直...

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井戸の中の駄菓子屋(絵・ひがしもとしろう)

持ち合わせた硬貨を渡すと店主は無言で勝手気ままにお菓子をくれたぎょうせんあめくじのついたラムネたばこを象ったチョコレート顔なじみになればときどきてのひらサイズの化石や偉い人がはめていた入れ歯七色に光る地球儀シーラカンスらしき置物などいろいろとおまけしてくれた中学に上がるころ道に迷いはじめ制服がなじむともうその井戸は見当たらなくなった井戸の中のひみつの駄菓子屋はまだあるのかもともと幻想だったか(日本...

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九月

【日本語字幕】チャウシェスク 最後の演説 "ルーマニア革命" -Nicolae Ceausescu last speech "Romanian Revolution"個人の自由は、どこか郭公の托卵に似ている。   *窓も扉も雨樋も、ほとんどのものがゆがんでしまった、ふるい家のまえのベンチに、老夫婦と犬が一匹、まるでよりそうようにすわっていて、なんともほほえましい光景だった。しばらく歩いてからふりかえってみると、もう、犬も老夫婦も、いなかった。風のなかで...

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植えつける(絵・ひがしもとしろう)

ある日算数の苦手な僕は体内に電卓を植えつける手術に成功し、またある日、時間を読めない僕は体内に時計を植えつける手術にやや成功し、またある日、少し太り気味の僕は体内に万歩計を植えつける手術に運悪く失敗したが、とは言え正確な時間が判らなくとも、正確な歩行数が判らなくともまあ、計算ができるのだから儲けものだ、と、そう彼女に自慢したところ、彼女は首を振り、私は計算もできない時間など気にしない少しおなかが出...

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九月

Coldplay - Talk毎朝、なじみつつある闇をむりやりひっぱがすように目をさます。ありもしない魚のまぶたをおもいえがきながら洗面所へ。しっとりと、しかも切れ目なくふる雨だった。網膜にも鼓膜にもまといつくような、そんないやな感覚がある。世界が消滅するかというくらいはげしく、せわしなかった虫の声もすっかりまろやかに、おだやかになり、そのぶん、こっちは、こころのなかにぽっかりと空洞ができてしまったようで、さび...

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まる(絵・ひがしもとしろう)

ぼくたちはまるのなかで生きている表も裏もなく過去も未来もない生のようにほほえましいが死のようにぶっきらぼうでもあるなににもよりかかることのない奥行きまるはまるのなかにまるを閉じこめているがはじめからなにごともなかったようでもありなにかが終わったあとのようでもあるなにかをさがすこともなければさびしさの空洞を埋めることもないにおいもなければ空腹もない――ここはどこ?――しらないよ。――いまはいつ?――どうでも...

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種(絵・ひがしもとしろう)

地球のポケットに種をまくのだとすればそれは希望や平和、友愛の種でなければならないそう教えてくれた小学校のときの先生が数年前、がんで亡くなったがんはいったいなんの種なのかなぜひとのポケットのなかで死を芽吹かせてしまうのかいまもときどき考えるのだけれどまだ、ぜんぜんわからない...

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ジグザグに(絵・ひがしもとしろう)

かつてはあんなにも息をはずませながらやみくもにジグザグに走れたのにどこまでもいつまでもジグザグに走れたのにいつのまにかお行儀のよい歩行しかできなくなったただたんにまちの輪郭をなぞることしかできなくなったほんとうはいますぐにでも走ろうとおもえば走れるはずだでたらめにジグザグに走れるはずだそれでもまだここに立ちどまったまま飛行機が航跡をのこしていくのをぼんやりながめているのはなぜだろう...

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九月

Blame it on My Youth / Alice in Wonderland - 栗林すみれ(P)もし犬が宇宙にいけば、当然犬についている蚤も宇宙にいくことになる。ロマンはむしろ蚤のほうにある。ひえびえとした宇宙に、蚤よ、犬よりさきに飛びこめ。だれも気づかない足跡をつけるんだ。   *宇宙について想像をめぐらすと決まってドツボにはまる。息苦しくなり、胸がしめつけられる。子どものころ、友人とふたりで神さまや宇宙について意見を交換していると...

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