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記事一覧

詩作品「鼻ほじり」(ひがしもとしろうさんの絵とともに)

The Carpenters - Yesterday Once More彼は生まれたときから鼻をほじっていた泣くのを忘れ、産声さえも上げることなく、羊水まみれのままひたすら無言で鼻くそを取り出すのに余念がなかったこんなにも執拗に鼻をほじくる赤ん坊ははじめてだと産婦人科医が驚くのをよそに、鼻をほじくることのできない人生はなんて空虚に満ちたものだろうと思いながら彼は鼻をほじっていた幼稚園のときも小学校のころも、中学生になっても、彼は平然...

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詩作品「器の商人」(ひがしもとしろうさんの絵とともに)

Pink Floyd - Money 私たち器の商人たち 各々のまぶたに水鳥の影がよぎりようやく朝を迎える 葬送行進曲を聴きながら 旅行の本をめくりながら 光を知るところからはじまる生活 新聞の見出し――「真昼の死の領域」「死の勝利/死の核心」「その男の美学に死する」――にざっと目を通す 私たち器の商人たち 川底で葬列を成す魚たちと並行して走る 朝食をとらなかった者から先に脱落していく 〈形こそ我々の究極!〉《形こそ我...

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詩作品「愛のフェスティバル」(ひがしもとしろうさんの絵とともに)

こいびとの壺を抱えて走る、青白い炎を孕んだ朝の街を走るまるで偉大なる敗者なのかたんなる亡霊にすぎないのか見境がつかなくなる前に形のない裸足の女神夏の髭あるいは骨の川……省略された事件どの建物も負傷していて包帯を巻いている犬が知性を競って駆けまわる魚たちはくちびるを捨てた円の美学に基づいてこいびとの壺を抱きしめる、――ああ、なんてやわらかいんだ!世界中の誰よりも愛に乞われていたこいびと世界中の誰よりも愛...

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詩作品「いつかきみの家に行くためのイメージ」(ひがしもとしろうさんの絵とともに)

Oasis - She's Electricいつかきみの家に行くよ。柄にもなく髪を分け、襟を正し、菓子折りなんかを携えて。そのくせ、呼び鈴を鳴らす手は気弱にふるえていたりして。紅茶は眠れなくなるからおかまいなく。きみのパタパタいうのんきな足音を聞きながら、ぼくは――たぶんきっと、ある葉脈なんかについて一家言を持っていることだろう。最初はぼくの周縁の葉脈、最後はアンデス地方の葉脈。核心に迫る直前で玄関の扉は開くのだ。そして...

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詩作品「なんか生えてる」(ひがしもとしろうさんの絵とともに)

なんか生えてるなにこれ?なんか生えてるなにこれ?なにこれ?なにこれ?なんか生えてるかくじつになんか生えてるかくじつになんか生えてることしかわかんないけどなんか生えてることはわかるでもわかんないなにこれ?ほんとになにこれ?ほんとにほんとになんか生えてるところはしめっていてあたたかくてきもちいいいじるときもちいいなんか生えてるのはわかんないけどきもちいいきもちいいとますますきもちいいとにかくいいいいい...

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邂逅の果て

T11 - One Step at a Time数年ぶりに再会した、元担任、元恋人であった彼は、自分を「サニー」と呼べと、開口一番、わたしに強要した。(わたしは思わずうなずく。)蝉の声。ひし形の日射。三叉路の、電柱わきの、ほのかな陽炎。夏。そう、あれは夏だった。サニーの歯はぼろぼろで、ひげも伸びっぱなしで、情緒のかけらもなかった。薬物におかされた表情でわたしの、おへその下あたりに手をすべりこませ、くつくつ笑う。ム所で学ん...

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詩作品「Jアラート」(ひがしもとしろうさんのののの絵とともに)

のののけ姫はのののけの西瓜割りのまねごとから生まれるというのののけ姫ののののけ話なのさその西瓜をわ」けあうまえに向日葵にあ「やまれ手のひらのiPhoneをうたがうように向日葵にあ「やまれまだまだいけるなんて思うなそれよりも頬杖の角度をよっぽど気にしなよ赤ん坊の泣き声をJアラートとまちがえるまえに赤ん坊の泣き声をJアラートとまちがえるまえにずっとここにいるからもののののののを喰わせろ。エドヴァルド・ムンクの...

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書き込みのある風景

鳥かごのなかには国籍はない、だから鳥かごのなかは無国籍なのだとおもいたいきょうもこの部屋の窓辺におびただしい数の漂流物どれもなぜか中国製で、まどろんでいて、ニーハオ、シエシエ、どーもどーも、やさしい町、だれか結婚しよういつのまにかひぐらしはなきやんでいて、ほとんどせりふのないまちのしずけさ最初からひぐらしなんていねーんだわでも、だれだろう?きみはだれだろう?きみがなけばいい、ひぐらしのかわりにてゆ...

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詩作品「愛論」(ひがしもとしろうさんの絵とともに)

Queen - Killer Queenツバメが今日はきみをぼくの背中にのせてかわいい言葉でつくられた南の秘密につれていってあげたかったのにざんねんだといっていますわたしはただあなたを好きだった意味もなくわけもなくなんの利害もなくほんとうにばかみたいいつも人をいやな気持ちにさせたりあとでていねいに謝ったりいったいなにになるの?会わなければよかったかなしさむなしさ満ちない気持ち怒り嘆き罵り実はすべて願望でしたあなたに愛...

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詩作品「ドラゴン夫人」(ひがしもとしろうさんの絵とともに)

ドラゴン夫人が青ざめるやせた髭面の到着によってドラゴン夫人が青ざめるやせた髭面の到着によってドラゴン夫人が青ざめるドラゴン夫人が青ざめる燕尾服の視線を浴びながらドラゴン夫人が青ざめる燕尾服の視線を浴びながらドラゴン夫人が青ざめるその上舞踏会への行き方を模索しながら健気な非文学的な非芸術的なドラゴン夫人が青ざめているもう捲られるのはいやだといって暴れる日めくりを川に捨てに行きながらドラゴン夫人は青ざ...

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