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Gilels plays Rachmaninov: Vocalise op.34 no.14蛍は夜があかるいと相手をさがせなくなってしまうのだと、あなたはいった(森の入り口には壊れた漁船と掘っ建て小屋があった)あなたとならんで歩くと決まって風のかたわらにある葉ずれの音や落ち葉を踏む音があざやかで、抱擁の遠さなら織り込みずみなのにたとえ気まぐれにほほえんでみたところでさびしいのはおたがいさま、なのだとおもう――雨に濡れきった蛍は、あいづちさえ気ま...

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Rachmaninoff-Richardson - Vocalise (with sheet music)みずたまりのまだらのまどろみにゆっくりと素足をひたせばふいにはずれてしまった一音のようによるべのない蛍になる...

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蝶、痕跡、食卓

Thelonious Monk - It´s Monk Time (1964) (Full Album)窓辺にやってきては液状になっていく蝶を、そんなふうにしか見れないのかとあなたはなじる地下鉄の時刻表を仰ぐように、だれかと耳打ちしあうように   *あなたの指がいまだに未知であるように声にならないことばは喉の奥でありもしない波に攫われる生まれることさえかなわなかった痛みを明日の痕跡だと偽るのはわたしの勝手だ山に近いこの部屋に朝の日ざしが射しこみ風を...

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フジ子・ヘミング~ノクターン第2番/ショパン過去からの眺めはすぐに水平線へむかいたがる日々の暮らしぶりを波のように省みられるかどうかのその瀬戸際に立っていることへの、ささやかな賭けの傍観者なのだから郷愁は、おたがいの髭を食みあう山羊たちだとうそぶいては、こわれやすいゆびさきを風に結びつけ、重い斧を持ちあげるように身を投げだせば、一人乗りのボートの底に一人ぶんの寝床が用意されていて、これがわたしの柩な...

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欠落しそこねて

Medeski, Martin & Wood - Mami Gato (End Of The World Party - Just In Case)白壁に沿った目抜き通りは、ひとや動物、建物や草木にたいするいいわけは一切なく、棺のうえをさまよう亡霊のようなこころもちでゆらいでいる地下でかわされる影たちのうわさばなしはつねに、めまぐるしくことばの温度を遠ざけ近づけながら石造りの階段の長い歴史を溶解し、深い眠りにある風景に影絵を宛がっていく活気に満ちた笑い声や、つやのある髪...

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